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未来のミライが低評価で賛否の理由と過去作品比較!似てるジブリ作品は?

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7月20日公開の細田守監督作品『未来のミライ』は、最初の週末で観客動員ランキング2位の29万5000人、興行収入4億円という成績でした(興行通信社調査)。

これは細田監督の前作『バケモノの子』(2015年)の60パーセント程度と、はるかに及ばない成績です。

またYahoo!JAPANなどの映画レビューでも星の数があまり伸びず、苦戦していることがわかります。

今回は

・レビューの評価が割れている理由
・未来のミライのあらすじ
・今までの細田作品との比較や受け継いでいる点
・未来のミライは細田作品のコアなファンにはおすすめできない

について書いていきます。

レビューの評価が割れている理由

7月30日現在、Yahoo!映画レビューでは2.56、みんなのシネマレビューでは2.07、映画.comでは2.5ポイント(いずれも5点満点換算)と、評価が低迷しています。

「時をかける少女」が4.0、「バケモノの子」が3.7ポイントということ(Yahoo!)を考えると、「どうしてしまったんだ」という数字であることは間違いありません。

「主人公の声優さんが大人の声でいやだ」「くんちゃんがキモい」というような声もあります。

しかし、酷評の一番の大きな理由は、やはり「冒険要素が期待より少ない」「家族ネタばかり」ということでしょう。

細田守といえばSF、細田監督といえば超現実な冒険。

そう信じているコアなファンにとって、今回の映画はあまりに普通で、家庭的すぎるとうつるわけです。

確かに高評価をつけているレビューには、

「家族愛の、ほのぼの感がいいです」
「もう一度子供と一緒に観たいな、と思った!」
「いつの日か、青年期のくんちゃんやミライちゃんを観てみたい」
「全ての世代へ向けた応援歌」

というように、二児の父でもある細田監督の描く、成長していく家族像に共感した、という内容が多くみられます。

つまりは、SF推し派かホームドラマ許容派か、で評価が分かれてしまったわけですね。

未来のミライのあらすじは不思議体験をとおしてくんちゃんが成長する話

この映画は「くんちゃん」に妹ができて、お兄さんになったところから話が始まります。

今まで両親の愛を一心に受けていたくんちゃんは、自分がゆずるということ、父母がいろいろ苦労しているということが全く分からない子供です。

「すきくない」を連発して、すねたりキレたりやりたい放題です。

主人公が4歳なので、物語の舞台はお父さんが設計したという奇抜なデザインの家から、ほとんど動きません。

ところがくんちゃんの感情が、わがままのピークを迎えると、何の予告もなく、庭の小さな木を中心に不思議体験が始まるのです。

そのファンタジー感をさらに広げるのが、山下達郎の「ミライのテーマ」「うたのきしゃ」の2曲です。

一瞬ミスマッチに思えるこのオープニング曲・エンディング曲が、実はとても雰囲気が合っているんです。

視聴する側の年齢層や好みのギャップを取り払い、日常でありながら冒険、現実でありながらちょっと思い出、というような時空を飛び越えた演出を手助けしています。

このように見てくると、まるで絵本のような、くんちゃんがワクワクした体験を共有するようなお話だということがわかります。

今までの細田作品との比較や受け継いでいる点

「時をかける少女」や「サマーウォーズ」が好きな人にとって、「細田守といえばSFだ、電脳だ」という気持ちは強いでしょう。

ただ、細田監督の有名映画には結構「家族」成分が多く含まれることも事実です。

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「おおかみこどもの雨と雪」では特殊な母子家庭がテーマでしたし、「サマーウォーズ」では仮想婚約者として訪れた先輩の田舎で、親族が見守る中ネットのサイバー戦争に突入するという設定です。

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また「バケモノの子」では、種族を超えた親子とも師弟ともいえる愛情が、ストーリーの根幹になっています。

こうやって見てくると、今回の家族愛の要素が多めの「未来のミライ」も、あまり今までの細田作品群から外れていないわけですね。

くんちゃんのキャラクターも、今までの細田監督作品から生まれてきた子供、といってもいいような面があります。

くんちゃんは「もと」一人っ子らしく調子が良く、両親の諭したことは聞きませんが、臨機応変な行動力は結構高いです。

「おおかみこどもの雨と雪」の雪の幼女時代に似ているところが多いですね。

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小学校入学を勝ち取った時の雪の態度も、こんな感じでした。

また、キレたくんちゃんが、リュックにテキパキ家出のおやつを詰めるシーンがあります。

こんな4歳児、もう冒険に出かけるしかないようなキャラクターです。

この辺りは「バケモノの子」の九太の雰囲気を感じます。

親戚の家への引っ越しから脱走する行動力、熊徹のもとにいたいからいるのだ、という九太の態度が、くんちゃんの成長後のイメージにオーバーラップして見えます。

こういう性格のくんちゃんが、4歳児なりの理解で不思議に立ち向かう、その先には「家族愛」というキーワードがある…

こうみてみると、ある意味この映画は細田作品の集大成といえるでしょう。

他の映画やアニメ作品と似てるものがある?

この映画をみて、評判を聞いたときに思い浮かぶのは、高畑勲監督の「ホーホケキョ となりの山田くん」です。

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似ているのは、ホームドラマ的要素だけではありません。

監督のイメージや主題歌のインパクトが先行して、ロードショーの初期から評価が割れたり、ファンタジー要素が薄く現実的すぎる、という意見が多く見られたりする点も類似しています。

ところでこの「となりの山田くん」ですが、映画の興行収入では15.6億円と、ジブリの黒歴史ともいえる低い水準です。

しかし、その後実はビデオ売り上げなどで十分に人気を伸ばしています。

Yahoo!映画レビューでも4.38点をマークしており、今となっては同じジブリの宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」の4.1点を上回っています。

これを見ると、「未来のミライ」も大器晩成型の映画だという可能性がありますね。

未来のミライは細田作品のコアなファンにはおすすめできない

正直にいうと、この映画は予告CMなどを見たとき「細田守?誰だっけ?」と思うような、コアな細田ファンではない人にこそ、おすすめしたいです。

細田監督自身、主題歌担当の山下達郎氏との対談で「…今回は特に、夏休み映画ですから。そういう役割(ポピュラー性)を大事にしてつくっています」と語っています。

つまり「SF」「ファンタジー」というふうにカテゴリーにはめ込むことは、監督自身の望みではないわけです。

くんちゃんが激したときに起きる不思議は、タイムワープとも、夢落ちとも括るのが難しい出来事です。

例えば、飼い犬が人間のオジサンと化して一緒に遊ぶシーンは、庭だけで起こる不思議なので、夢かもしれません。

しかし、高校生になったミライが訪ねてくるシーンでは、無事お雛様を箱に片づけることに成功しているので、現実に影響を与えているわけですから、夢とはいえません。

さらに、過去に時間移動したときには、普通にその時代のお母さんやひいじいじとコミュニケーションをとって、いたずらのツケや馬やバイクの乗り方のコツを勉強しています。

これらは「冒険」をカテゴライズしたくないという監督の自由な発想のたまものでしょう。

まるで、子供が体験してみたいと思ったことを、片端からかなえてあげたかのような空気感です。

「SFだ」「タイムワープだ」とこだわらず、こういうふんわりとしたワクワクを共有したい人、不思議ワールドを子供目線で楽しめるあなたなら、きっとこの映画を楽しむことができますよ。