2018年7月期ドラマ

この世界の片隅にドラマとアニメの比較評価は?現代パートは不要?

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日曜劇場ドラマ「この世界の片隅に」はこうの史代原作の漫画をTBSが2018年夏シーズンにTV化したことで評判を集めています。

ただ残念なことに、最近話題に上っているのはこのTBSドラマの出来不出来ではなく、片渕須直監督のアニメ映画の真似かどうかという点だけで論議されている状態になっています。

それというのもドラマのエンドタイトルで「special thanks to 『この世界の片隅に』製作委員会」とあったことについて、7月24日に映画の製作委員会側が「ドラマには全く関与していない」という発表したからとのこと。

この異例の発表にはほとんどの意見として、映画製作側に同情するコメントが寄せられています。

以前にも北川景子主演でドラマ化されていますが、今回はなぜアニメ版からの抗議とも取れるコメントがでたのでしょうか?

今回は

・北川景子主演ドラマ版の特徴と評価

・アニメ映画版とTBSドラマ版の比較

・松本穂香主演「すず」の評価は?

・現代パートの是非

について調べてみました。

北川景子主演ドラマ版の特徴と評価は?

実は、この原作の映像化は今回で3回目の作品です。

原作を読んでいれば有名な話ですが、アニメ映画から入った人たちの間では、あまり話題になっていません。

映像化1作目は、日本テレビが終戦記念スペシャルとして、2011年8月5日の2時間半ドラマとして放送したものです。

主演は北川景子で、夫・周作役は小出恵介です。

 

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小出恵介の名前を聞くと残念ながら「あーこのドラマはもう再放送されないだろうなぁ」と思い当たるかもしれませんね。

このドラマの特徴は、

・北川景子の役作りが、原作のようにあまりぼんやりとした雰囲気ではなかった

・速水もこみち演じる幼なじみで水兵さんの水原哲が主要人物

・水原哲に対する周作の嫉妬なども細かく描かれている

原作になく、アニメとも違うという評価でした。

ただ2016年にアニメ映画化されたときにはもうドラマから5年以上経っていたため、アニメのことを二番煎じとした話はあまりクローズアップされませんでした。

もちろんアニメ映画版がドラマ版よりも素晴らしかったから、ということもあります。

こういうドラマ作品があることを考えると、原作の漫画さえ傷つけていなければ、アニメ映画とドラマを比較する必要はあまりないのではないか…と考えたくなります。

アニメ映画版とTBSドラマ版の比較

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今回のドラマは、アニメ映画の翌年と言うことで、原作にプラスしてアニメも意識せずにはいられなかった部分はあるかもしれません。

似通っている点としてよく評判になっているのは、

「家の作りが原作通りと言うよりアニメ通り」

「すずが仕立てたモンぺがアニメの色合い」

「遠い風景がアニメと同じ」

「松本穂香がのんにそっくり似せている」

などと言うものです。

しかし実際にアニメを意識しない目線でコミックとドラマを見てみると、どれも相容れない要素というわけではなく、重箱の隅をつつくような細かい指摘です。

要は、映画のファンたち・片渕須直監督のファンたちが、「special thanks」の言葉に対し、ひとこと言わずにはいられなかったということではないでしょうか。

では、映画では見られなかったドラマのシーンにはどのようなものがあるでしょうか。

・家族の愛情が現代的に和気あいあいとしている
・秀作とすずの愛情が細やかに描かれている
・ 「座敷わらし」の将来についてアニメではカットされた原作の内容が描かれている
・現代のパートとしてすずの子孫らしき登場人物が挿入されている

…という点が挙げられます。

アニメでは描ききれなかった細やかな愛情表現や空気感は、実写であるからこその強みといえます。

すずが兄を励ますために殴られ役を買ってでたりする兄弟愛はドラマオリジナルです。

すずの実家・浦野家では食事時も和気あいあいとしていて、周作の北條家ではむしろ口をきかない静かな食卓が普通であるという対比も、細かい演技や小道具によって表現されています。

また、役者の色を出す愛情あふれるシーンは松坂桃李と松本穂香の演技の賜物といえます。

一方で「リン」の存在を明らかにして、話にスパイスを加えているのは、今後の展開待ちとはいえ、原作に沿ったシナリオであるといえます。

松本穂香版「すず」の評価は?

アニメ映画では「能念玲奈」としての活動が封印されていた、のんを監督が見出したことでとてもニュースになりました。

実際のんの声優としての演技は大成功だったと評価されています。

それでは今回の松本穂香の役作りはいかがでしょうか。

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松本穂香の主要な出演といえば、「ひよっこ」の主人公・みね子の東京での友人、福島出身の青天目澄子は記憶に新しいでしょう。

このときの彼女の役柄も、どちらかと言うと少しぼうっとしていて、でも不遇な実家時代を恨むでもなく、東京での仕事を黙々とこなしている不言実行型の女の子でした。

そのイメージを持って今回のすず役を見てみると、いつも眠そうなイメージは似通っていながらも、すず役の方が比較的おっとりと大人びていて、周りへの心配りができる心のある女性というイメージであることがわかります。

自分が鈍いことを飲み込んでいて、いじめのような扱いを受けてもそれを受け流してむしろ相手をいたわることができる人柄、気がつかないうちにハゲができたということで、夫に触れられるのを避けたりする女性らしい面…

このような際の演技が、松本穂香版すずのオリジナル性として評価されています。

現代パートはいらない?

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現代のすずの子孫らしき人たちのシーンについては、「いらない」「さえぎられる」「すずの万人性が消える」という否定的な意見が大半を占めています。

確かに、ふっと現代の場面が登場すると、せっかくのふんわりとした余韻が切れてしまうような、嫌な感覚に襲われることもあります。

ただ、かつてのすずの住まいが今は廃墟となりながらも存在しているということは、過去を扱う物語を見る上で、とても奥行きのある影響を与える効果があります。

また、『永遠の0』でもそうだったように「話を受け継ぐ者がいる」という含みを持たせる意味でも、今のところこの現代パートも役割を果たしているといえるのではないでしょうか。

まとめ

今回はこの世界の片隅にドラマとアニメの比較評価について調べてみましたが、次のことがわかりました。

・北川景子主演のドラマ版評価は原作ともアニメとも違う
・アニメより前に放送されたこともあり、アニメと比較されることはない
・アニメ版とTBSドラマ版の比較評価は重箱の隅をつつくような酷評が多い
・実写だからこそ表現できる空気感があって評価できる
・松本穂香演じるすずはオリジナル性が出ていると評価できる
・現代パートはいらないという意見が多い
・しかし過去を振り返る演出で奥行きのある影響を与える効果があると考えられる

いろいろな物議をかもしている「この世界の片隅に」ですが、原作者のこうの史代さんがTBSドラマ公式ホームページにて「脚本を拝見し、夢にも思わないほど素敵で嬉しくなりました!」と評価しています。

この一言を受けて、アニメ映画絶対のファンの方たちも、ドラマを中傷することは控えめにして、もう少し見守っていっても良いのではないでしょうか。